数年前と比較すると、化粧箱のクオリティは驚くほど高まっています。
化粧箱の見た目だけでなく商品を手に取った時のテクスチャー(質感)も追求することが多く、付加価値を高めたいというニーズが増えていると感じます。
今回ご紹介する「シルク印刷」も独特のテクスチャーを出すことができる方法のひとつです。
以前は化粧箱にシルク印刷をしようという考え自体がありませんでした。最近では印刷技術の向上もあって化粧箱にシルク印刷を活用することも多くなってきました。
- 化粧箱のデザインに立体感を出したい
- デザインの一部にツヤを出して際立たせたい
といったご要望がある場合にシルク印刷をご提案しています。
シルク印刷とは?
シルク印刷(シルクスクリーン印刷)とは、穴を開けたスクリーンと呼ばれる版板に石油系のインクをつけて紙材に刷り込み印刷する手法です。
シルク印刷には次のような特徴があります。
- 紙質を選ばない
シルク印刷はインクが紙材の色に混ざらないため、どのような色の紙質でも鮮やかに発色するのが最大の特徴です。通常、紙にインクをのせるとインクの色がベースの紙の色に影響を受けてしまいます。例えばコートボール紙や非木材紙に鮮やかな色を印刷しても、くすんでしまいます。また黒色の紙材に白のインクをのせると文字が黒ずんでしまいます。 - 幅広い演出が可能
透明なニスでツヤ感を出したり、特殊インクで厚さを出すことでその部分が浮き出るような立体感を演出したりと、活用の幅が広いのが特徴です。
写真のようにラメを混ぜて光を反射してキラキラさせたり、透明性の高いインキを使用し、見る角度によってまるで浮き上がったように見せたり、細かい文字を精密に印刷したりといったことが可能です。
- 版板が必要
シルク印刷用の版板を作る必要があるため、初期費用がかかります。複数の色を出す場合は、一色ごとに版板を作ることになります。
箔押しとは違う?
東都紙器ジャーナルでもたびたびご紹介してきた「箔押し」も、高級感や立体感を出す手法です。箔押しでは、金・銀などの箔(ホイル)に熱を加えて紙に吸着させます。箔押しについては過去の記事をご覧ください。>>上質な商品のブランディングに役立つ箔押しとは?
箔押しもシルク印刷と同じようなことができるのですが、箔押しの場合は範囲が広がれば広がるほどコスト高になるという特徴があります。シルク印刷の場合は版板を製作するため、範囲が広がってもコストは変わりません。
次のような場合には、箔押しよりもシルク印刷をおすすめしています。
- ツヤを出したい
ツヤを出すためには、ある程度の範囲にニスを塗る必要があるため、箔押しではコスト高になります。 - 小さな文字を表示したい
箔押しは箔を紙に貼り付けるため、小さな文字は不得意です。 - 立体感を出したい
箔で厚みをつけることができないため、エンボス加工と組み合わせる必要があります。 - ロットを大きくしたい
箔押しは基本的にロットが多いと製造が困難です。
反対にシルク印刷が不得意なのは次のケースです。
- 表示する文字が変動する場合
シルク印刷は版を作りなおす必要があります。 - メタリックな質感を出したい場合
アルミを吸着させるような印刷はシルク印刷ではできません。
化粧箱・紙箱にシルク印刷を使う時の注意点とは
このようにシルク印刷はいろいろな演出ができて、目で見ても手に取っても特別な質感を味わえる化粧箱になりますが、注意点もあります。
それは化粧箱の罫線にまたがって盛り感を出してしまうと、紙箱に組み立てた時にひび割れを起こす可能性があるということです。
紙の厚さも影響するため、試作して厚みを調整する必要があります。
東都紙器では、シルク印刷の化粧箱に豊富な実績を持っています。今回ご紹介しきれなかったパターンの化粧箱事例もありますので、存在感のある化粧箱を制作したい方はどうぞお気軽にお問い合わせください。