紙箱の製作でどのメーカー企業でも悩みの種となっているのが、「紙粉」の問題です。
紙材を抜加工する際に、切り口から出る粉末状の紙屑が紙材の表面に付着することがあります。これを紙粉と呼んでいます。写真のように無数の紙粉が貼り付いて取れなくなっています。
紙粉は、紙を裁断する以上必ず発生します。そのため対策として品質の高い抜型を使って紙粉を少なくすると共に、付着した紙粉を取り除く工程を必ず入れなければなりません。
東都紙器では、今まで数多くの化粧箱を手掛けてきました。紙粉についてもノウハウを蓄積しており万全の対策をしていますが、先日、従来の対策では紙粉を取り除くことができない問題が発生しました。
紙粉の付着は、紙との相性によるところが大きくなります。今回の問題は、表面加工で粘着性のあるベルベットフィルムが原因でした。ベルベットフィルムは、質感の高さやシルキーな手触りに特徴があり、最近人気の表面加工です。
ベルベットフィルムは強い粘着性があるため、他の紙では取り除けるような紙粉が付着したままになっていたのです。
この問題を解決するべく、抜型を改良できないか?と考え、いくつかの抜型メーカーに相談をしたものの、どの企業からも「この抜型は品質がとても高いです。」という回答でした。
しかし信頼して下さるお客様の要望には何としても応えなければなりません。困って探しに探した結果…ついに解決策を見つけました!
それがこちらの抜型です。
ポイントは2つ。ひとつは刃の部分にシリコンを塗布しているため、裁断時に刃がなめらかに滑り、紙の断面を壊すことなく裁断できます。そのため紙粉が出にくくなります。
もうひとつが、抜加工でプレスする際に紙を押さえる役割があるゴムを、刃の周りに隙間なくしっかりと貼りつけることです。
〇改良前の抜型
〇改良後の抜型
刃の周りに隙間なくゴムが貼り付けられているのがわかります。
ゴムの貼り付け方が緩いと刃がきれいに紙を切ることができなくなります。また、ゴムとゴムの間に隙間があると、そこから紙粉が発生してしまいます。
抜型の改良の他に、通常の紙粉落としの工程に加えて、貼加工の直前にエアーで紙粉を飛ばす工程を追加しました。
これが改善前と改善後の比較です。改善の結果、紙粉がつかなくなりました!
〇改善前の化粧箱
〇改善後の化粧箱
紙粉がどうしても取れなくてお困りのお客様はぜひご相談ください。東都紙器のノウハウを元に解決方法をご提案します。